1200年の長きにわたり上尾・桶川地域を守護しつづける徳星寺(とくしょうじ)を紹介します。正式には天台宗東髙野山遍明院徳星寺と称し、弘仁年間(810~824年)に僧空海(弘法大師)が開基されたと伝えられています。また、永禄6年(1563年)の8月住職降宗の代に、伊奈町の金亀山法光寺と宗旨を交換して天台宗に改宗しました。本堂には阿弥陀如来像が安置され、地域の人々の篤い信仰の拠り所となっています。

 境内の東寄りには大カヤと暖帯林が自生し、埼玉県指定天然記念物になっています。弘法大師が自ら植えたものとされる大カヤは幹周り約5.5m、樹高21.8mで、正確な樹齢は不明ですが、700~800年以上と推定されます。

 また江戸時代、徳川家康以下将軍の寺領朱印状12点と岩付城主・太田氏房の印判状1点が保管され、上尾市内に残る古文書では現在最古のもので、「家康朱印状等古文書」として上尾市指定有形文化財になっています。朱印状は幾重もの銅箱の中で厳重に保管されていたため災害時も消失せず、全時期の歴代将軍のものが残っているのは数少ない貴重な文化財だそうです。

 中興第73世である伊藤亮昭住職から始めた花手水と絵入り御朱印が人気を博しています。徳星寺は東国花の寺百ヶ寺埼玉【7番】・関東91薬師【29番】・関東108地蔵尊【3番】札所となっていて、絵入り御朱印の書き置きは現在なく、文字タイプのほか、カラフルな絵画タイプもあり、筆やエアブラシを使って、住職と職員がすべて手描きをしているそうです。近隣の寺社とコラボレーションするなど、季節やイベントごとにバラエティに富んだ御朱印は熱心なファンが多く、当日持ち帰るには2~3時間待ち、御朱印帳を預けると数ヶ月待ちになっているそうです。


伊藤亮昭住職と、職員の村岡治和さん

 一年を通じて行事も多く、8月に行われる「万燈供養祭」では境内が燈籠と竹あかりだけで照らされ、幻想的な世界が広がります。ちなみに徳星寺で灯されるすべての火は、比叡山延暦寺で僧最澄(伝教大師)が灯して以来、1200年に渡り消えていない火が移されていて、代々の住職がいかなる時も絶やさずに守ってきた火を使うそうです。

 10月には上尾市指定無形民俗文化財である「畔吉のささら獅子舞」が奉納され、大晦日・元旦には「新年厄除祈願祭」で護摩が焚かれ、5月には「花まつり 灌仏会」が行われるなど、行事ごとに市内外から大勢の方で集い賑わうそうです。

 伊藤住職は「当山では、来て頂いた方に対して安心感を与えられるような寺院を目指しています。天台宗には『一隅(いちぐう)を照らす』といって、一片のかけらもなく照らし一人一人に輝いてもらおう、すべての人こそが宝である、という最澄の教えがあります。この世のすべての人々が平和で幸せであるよう祈っています」と静かに語りました。
 徳星寺では座禅止観体験会を要予約で受け付け、また宗派不問で霊園にお墓を建立することができます。詳しくは徳星寺へお問い合わせください。

名称 天台宗東髙野山遍明院 徳星寺(とくしょうじ)
所在地 上尾市大字畔吉751
電話 048-725-1599
リンク HP https://tokusho-ji.com/
Instagram https://www.instagram.com/tokusho_ji/