上尾市における農業を取り巻く環境は、生産者の高齢化や後継者・担い手の不足とそれに伴う遊休農地の増加など、深刻な問題を抱えています。担い手問題の解決に向け、継続的に農業を営む新規就農者の発掘及び育成を行うため、農業の基礎知識や農作業の基本を実践的に学ぶ「上尾市アグリサポーター」養成講座が平成31年度から始まりました。

 講座には「露地野菜コース」と「果樹コース」があり、繁忙期に農作業をボランティアで手伝いながら、専門講師や生産者から知識や技術を学びます。生産者にとっては負担軽減と営農継続に向けたモチベーション向上になり、サポーターにとっては栽培した農作物を作る喜びや美味しさを実感でき、双方にメリットがある関係が築かれます。市内16軒の登録農家の中で、所在地や作業内容等を考慮し農政課がマッチングを行い、令和4年度までに講座を修了したアグリサポーターは35名になりました。

 キウイフルールやブドウを生産している内田栄作農園さんでは、数名のサポーターが作業を手伝っています。サポーターの佐藤さんは「子供の頃から自家栽培した農作物を食べていたので、市販されている野菜は味気無さを感じ、畑を借りて自分で育てるようになりました。アグリサポーター養成講座を受け本格的に農業を学んで畑で実った野菜をいただくと、とても美味しくて食べる喜びを感じています」と話します。サポーターの前田さんは「露地野菜コースを修了した翌年には果樹コースも受講しました。少しでも農家さんの役に立てていたら嬉しいです。第一次産業を学んで自給自足することは、日本の未来を守ることにつながると思います」と話します。

 生産者である内田栄作さんは「収穫期の箱詰めや発送はスピーディに行わなければならないので、サポーターさんが手伝ってくれると作業効率が上がり、新たな販路開拓もしてくれてとても助かります。私は高齢のため“終農”を考えているのですが、せっかく育った果樹が途絶えるのは残念なので、本気で就農してくれるサポーターさんには、事業承継も視野に入れています。上尾市の農業をサポーターの皆さんが支えてくれると嬉しいです」とアグリサポーターに期待しているそうです。

 令和5年度の上尾市アグリサポーターは4月から募集が始まります。対象は市内に在住・在勤・在学の方、費用は保険料350円。申込期間は4月28日まで、定員あり。詳しくは上尾市役所農政課(電話048-775-7384)へ。

内田さん(中央)とサポーター前田さん(左)、サポーター佐藤さん(右)

サポーターは農作業を手伝いながら技術を学びます。

花粉精選機の使い方を学ぶサポーターさん

ブドウの直売風景

令和5年度 アグリサポーター募集!