上尾市自然学習館の展示室が【摘田と上尾の歴史・文化コーナー】としてリニューアル

　上尾市自然学習館は、自然豊かな上尾丸山公園内に設置された、上尾の自然や文化を学習、観察、体験できる拠点施設です。展示室の一部がリニューアルされ、令和５年12月25日に「摘田と上尾の歴史・文化」コーナーとしてオープンしました。

リニューアルした上尾自然学習館の展示コーナー

　新設されたコーナーでは、国指定重要有形民俗文化財「上尾の摘田・畑作用具」をはじめ、上尾の歴史や文化を紹介しています。「摘田」とは、直播きによる伝統的な稲作の栽培方法。田植えによる稲作である植田が稲の栽培法として一般的に知られていますが、明治時代までは直播きの栽培も広く行われており、摘田も日本在来の稲作栽培法と考えられています。上尾市の市域を含む大宮台地は、畑作を基本とした農業地帯であり、わずかな田が台地の谷部にある低湿地であるうえ、用排水路の整備も困難であるという地理的制約があり、昭和40年代まで摘田による稲作を行ってきました。摘田による稲作では、播種の際の畝引きの作業や、稲刈りの際のソリ（田舟）の上に稲束を置くなどの特徴的な作業があります。

上尾で唯一の国指定重要有形民俗文化財　上尾の摘田・畑作用具の一部

　このコーナーでは季節ごとの摘田稲作の作業風景を再現したジオラマが展示され鑑賞したり、畝を引く「ノタクリ」や「ソリ（田舟）」といった用具を実際に触って体験できるなど、「上尾の摘田」を詳しく展示しています。

摘田による稲作のジオラマ模型

畝を引く「ノタクリ」や「ソリ（田舟）」を実際に触って体験できます

上尾市自然学習館外観

　生涯学習課文化・文化財保護担当の長谷川一樹さんは「歴史の年表に出てくるものではありませんが、ここで生きてきた人の確かな軌跡を再現し紹介しています。ジオラマを作り体験型にしたことで、農村だった上尾を想像してもらいやすいと思います」と話します。展示コーナーを訪れて、上尾の大地で畑作をした人たちに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

お問い合わせ
上尾市教育委員会　生涯学習課　文化・文化財保護担当　TEL. 048-775-9496